全身性エリテマトーデス
全身性エリテマトーデス : (systemic lupus erythematosus)略してSLEと呼ばれる、免疫の異常から発病する慢性炎症性疾患。
SLEは、自己抗体等の出現により基づく膠原病の一種。人間の体は組織や細胞がくっつきあってできているが、それぞれの組織や細胞をつなげたり、ささえたり、クッションのような役をする組織を結合組織といい、おもに膠原線維でできている。エリテマトーデスはここに炎症がおこる病気である。
膠原病に共通することであるが、患者のほとんどは再燃(症状活動性の上昇)と寛解(症状の安定)を繰り返すか、繰り返しながら徐々に病状が進行していく。
多発年齢は20~30歳代で、男女比は1:10で女性が圧倒的に多い。エリテマトーデスには二種類あり皮膚のみに病変が見られる円板状エリテマトーデスと内臓の障害も認められる全身性エリテマトーデスがある。
円板状エリテマトーデスはわずかな患者に全身性エリテマトーデスの症状が現れることがあるが軽症で、ほとんどの場合皮膚にのみ病変を認め内臓の障害を認めることは少ない。
全身性エリテマトーデスの病状は多彩で発熱、易疲労、関節炎、リンパ節の腫れ、皮膚症状、レイノー症状、光線過敏症、脱毛、多臓器障害、神経障害、精神障害、血液異常等様々な症状をきたす。
全身症状として発熱や易疲労(疲れやすい)や関節炎は高確率で見られる。
皮膚症状のもっとも典型的なものに蝶形紅斑がある。
また、内臓障害ではほとんどの患者は腎臓に軽症から重症まで何らかの障害を持ち、又心臓や肺に炎症が起こる場合もあり、それにより心膜炎や胸膜炎といった症状が出る場合がある。これら心膜炎や胸膜炎において多量貯留が見られる場合注意が必要である。
全身性エリテマトーデスに特徴的なのは血液中に抗核抗体と抗DNA抗体が出現すること、及び補体が低下することが多い。
また、血沈値上昇、リンパ球減少、γ-グロブリン値増加、CRP陽性も見られる。
補体は本疾病において免疫複合体と結合しやすく、活動時・増悪時に補体の消費に基づく為、指標となる。
重症例として気をつけなければならないのは腎臓障害、神経精神障害、特定の血液異常である。
腎臓障害は全身性エリテマトーデスの症状の中で最も注意しなければならない。本疾病は、免疫複合体が腎臓に沈着しやすく糸球体への障害と腎機能が低下する。
これらのことにより、ネフローゼ症候群、糸球体腎炎等多彩な症状が起こる。
組織学的分類としてWHOと呼ばれるものがあり、Ⅰ型~Ⅵ型に分類されている。
Ⅰ型(正常糸球体) : 正常。
Ⅱ型(メサンギウム型腎炎) : 糸球体にあるメサンギウム基質(細胞)と呼ばれるものが肥大化し周囲の血管が圧迫されるが、病変は軽症。尿所見はほぼ正常か、軽度の蛋白尿、血尿が出没する程度で予後良好。
Ⅲ型(巣状分節状糸球体腎炎) : 部分的に炎症、壊死、硬化が見らる。メサンギウム病変は軽症から中程度。蛋白尿、軽度の血尿を認めるが、ネフロ-ゼ症候群は稀であり、予後は比較的良好であるが、腎不全に移行する場合も稀にある。
Ⅳ型(びまん性糸球体腎炎) : 糸球体の広範囲に炎症、壊死、硬化が見られる。メサンギウム病変は中程度から重症。急速な腎機能低下を伴うネフロ-ゼ症候群のものが多く、蛋白尿、赤血球などが認められ、抗DNA抗体、低補体血症を伴う。腎機能障害を伴うことが多く、予後は悪い。
Ⅴ型(びまん性膜性糸球体腎炎) : 多少のメサンギウム病変が見られ糸球体基底膜に免疫複合体沈着がみられる。中程度以上の蛋白尿が認められ、ネフロ-ゼ症候群を呈する。抗DNA抗体、低補体血症を認めることは少ない。予後は中程度。
Ⅵ型(糸球体硬化) : 慢性腎不全。糸球体全体が硬化。予後は極めて悪い。
腎機能の検査において最も手軽で一般的なものは尿検査であり、他には超音波(エコー)、CTスキャン、MRI等を用いた画像診断等がある。
これらの検査により大体の結果は判明するが病状を正確に知ることは不可能で、全身性エリテマトーデスの場合腎臓以外にも障害が起きやすいため、詳しく検査するために腎生検を行ったほうがよい。
ただし、現在では少なくなったとはいえ検査による危険性(出血、血尿、非常に低確率ではあるが死亡や腎摘出)がある為患者の意思が尊重される。また、出血傾向があったり片側にしか腎臓が無い場合や腫瘍がある場合は行えない。
次いで神経精神障害であるが、中枢神経、末梢神経や自律神経が障害されたり、脳にまで障害がおよんだ場合中枢神経ループスと呼ばれ、てんかん様痙攣といった意識障害、頭痛等場合がある。
また、精神症状の出現も全身性エリテマトーデスの場合、膠原病の中ではかなり高頻度で見られる。症状は躁状態、うつ状態、不安、不眠、情緒不安定、統合失調症、自殺企図等実に多彩である。この中で最も注意すべきは当然自殺企図である。自殺の察知は不眠、うつ状態、人生の悲観等であるが、一般的にはうつ状態の回復時期に自殺が多いとされる。
全身性エリテマトーデスの精神症状は、若年層で発症する事による社会心理学的問題(活動の制限や対人関係)と他の症状と同様に脳に直接及ぶ場合、および副腎皮質ステロイドホルモンの副作用による場合がある。
これらの症状が出た場合精神科等他の科の連絡を密にすることが賢明である。
血液異常において注意しなければならないのは溶血性貧血で他に血小板数減少症、白血球減少症がある。
以上、全身性エリテマトーデスの症状は多彩であり、そのいずれもが初発症状の可能性がある。そして経過を通じて患者によって症状の多さや障害度、及び時期に個人差が見られる。
現在では、病状をコントロールする方法が進んだ為、昔に比べ予後は、はるかによくなった。
SLEは、自己抗体等の出現により基づく膠原病の一種。人間の体は組織や細胞がくっつきあってできているが、それぞれの組織や細胞をつなげたり、ささえたり、クッションのような役をする組織を結合組織といい、おもに膠原線維でできている。エリテマトーデスはここに炎症がおこる病気である。
膠原病に共通することであるが、患者のほとんどは再燃(症状活動性の上昇)と寛解(症状の安定)を繰り返すか、繰り返しながら徐々に病状が進行していく。
多発年齢は20~30歳代で、男女比は1:10で女性が圧倒的に多い。エリテマトーデスには二種類あり皮膚のみに病変が見られる円板状エリテマトーデスと内臓の障害も認められる全身性エリテマトーデスがある。
円板状エリテマトーデスはわずかな患者に全身性エリテマトーデスの症状が現れることがあるが軽症で、ほとんどの場合皮膚にのみ病変を認め内臓の障害を認めることは少ない。
全身性エリテマトーデスの病状は多彩で発熱、易疲労、関節炎、リンパ節の腫れ、皮膚症状、レイノー症状、光線過敏症、脱毛、多臓器障害、神経障害、精神障害、血液異常等様々な症状をきたす。
全身症状として発熱や易疲労(疲れやすい)や関節炎は高確率で見られる。
皮膚症状のもっとも典型的なものに蝶形紅斑がある。
また、内臓障害ではほとんどの患者は腎臓に軽症から重症まで何らかの障害を持ち、又心臓や肺に炎症が起こる場合もあり、それにより心膜炎や胸膜炎といった症状が出る場合がある。これら心膜炎や胸膜炎において多量貯留が見られる場合注意が必要である。
全身性エリテマトーデスに特徴的なのは血液中に抗核抗体と抗DNA抗体が出現すること、及び補体が低下することが多い。
また、血沈値上昇、リンパ球減少、γ-グロブリン値増加、CRP陽性も見られる。
補体は本疾病において免疫複合体と結合しやすく、活動時・増悪時に補体の消費に基づく為、指標となる。
重症例として気をつけなければならないのは腎臓障害、神経精神障害、特定の血液異常である。
腎臓障害は全身性エリテマトーデスの症状の中で最も注意しなければならない。本疾病は、免疫複合体が腎臓に沈着しやすく糸球体への障害と腎機能が低下する。
これらのことにより、ネフローゼ症候群、糸球体腎炎等多彩な症状が起こる。
組織学的分類としてWHOと呼ばれるものがあり、Ⅰ型~Ⅵ型に分類されている。
Ⅰ型(正常糸球体) : 正常。
Ⅱ型(メサンギウム型腎炎) : 糸球体にあるメサンギウム基質(細胞)と呼ばれるものが肥大化し周囲の血管が圧迫されるが、病変は軽症。尿所見はほぼ正常か、軽度の蛋白尿、血尿が出没する程度で予後良好。
Ⅲ型(巣状分節状糸球体腎炎) : 部分的に炎症、壊死、硬化が見らる。メサンギウム病変は軽症から中程度。蛋白尿、軽度の血尿を認めるが、ネフロ-ゼ症候群は稀であり、予後は比較的良好であるが、腎不全に移行する場合も稀にある。
Ⅳ型(びまん性糸球体腎炎) : 糸球体の広範囲に炎症、壊死、硬化が見られる。メサンギウム病変は中程度から重症。急速な腎機能低下を伴うネフロ-ゼ症候群のものが多く、蛋白尿、赤血球などが認められ、抗DNA抗体、低補体血症を伴う。腎機能障害を伴うことが多く、予後は悪い。
Ⅴ型(びまん性膜性糸球体腎炎) : 多少のメサンギウム病変が見られ糸球体基底膜に免疫複合体沈着がみられる。中程度以上の蛋白尿が認められ、ネフロ-ゼ症候群を呈する。抗DNA抗体、低補体血症を認めることは少ない。予後は中程度。
Ⅵ型(糸球体硬化) : 慢性腎不全。糸球体全体が硬化。予後は極めて悪い。
腎機能の検査において最も手軽で一般的なものは尿検査であり、他には超音波(エコー)、CTスキャン、MRI等を用いた画像診断等がある。
これらの検査により大体の結果は判明するが病状を正確に知ることは不可能で、全身性エリテマトーデスの場合腎臓以外にも障害が起きやすいため、詳しく検査するために腎生検を行ったほうがよい。
ただし、現在では少なくなったとはいえ検査による危険性(出血、血尿、非常に低確率ではあるが死亡や腎摘出)がある為患者の意思が尊重される。また、出血傾向があったり片側にしか腎臓が無い場合や腫瘍がある場合は行えない。
次いで神経精神障害であるが、中枢神経、末梢神経や自律神経が障害されたり、脳にまで障害がおよんだ場合中枢神経ループスと呼ばれ、てんかん様痙攣といった意識障害、頭痛等場合がある。
また、精神症状の出現も全身性エリテマトーデスの場合、膠原病の中ではかなり高頻度で見られる。症状は躁状態、うつ状態、不安、不眠、情緒不安定、統合失調症、自殺企図等実に多彩である。この中で最も注意すべきは当然自殺企図である。自殺の察知は不眠、うつ状態、人生の悲観等であるが、一般的にはうつ状態の回復時期に自殺が多いとされる。
全身性エリテマトーデスの精神症状は、若年層で発症する事による社会心理学的問題(活動の制限や対人関係)と他の症状と同様に脳に直接及ぶ場合、および副腎皮質ステロイドホルモンの副作用による場合がある。
これらの症状が出た場合精神科等他の科の連絡を密にすることが賢明である。
血液異常において注意しなければならないのは溶血性貧血で他に血小板数減少症、白血球減少症がある。
以上、全身性エリテマトーデスの症状は多彩であり、そのいずれもが初発症状の可能性がある。そして経過を通じて患者によって症状の多さや障害度、及び時期に個人差が見られる。
現在では、病状をコントロールする方法が進んだ為、昔に比べ予後は、はるかによくなった。
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